
📍シチュエーション
売上が伸び悩んだ日の振り返りで、あるスタッフの声がけに気づいた。挨拶や呼び込み自体はしている。本人の中では「ちゃんとやっている」つもりだ。ところが横で聞いていると、声が小さくてお客様までは届いていない。結果として、来店した人が素通りしていく一因になっていた。
難しいのは、本人にサボっている自覚がまったくないことだ。「やっていない」わけではなく「やっているつもりだが届いていない」。この状態で「もっと声を出して」と言っても、本人は「出しているのに」と受け取り、指摘がかみ合わない。やっている本人と、見ている側とで、同じ行動の評価がずれていた。
❌よくあるNG対応
- 「声が小さい」「もっと出して」と、本人の体感を無視して抽象的に注意する
- 「やる気がない」「サボっている」と、届いていないことを意欲の問題にすり替える
- 一度言って直らないと、「言っても無駄」と指導そのものを諦めてしまう
✅店長(SM)目線の推奨対応
まず、「やっているのに評価されない」という本人の感覚を否定しないところから入る。「挨拶しているのは分かっている。ただ、お客様の位置まで届いているかは別の話なんだ」と、努力と結果を切り分けて伝える。
そのうえで、届く基準を具体化する。「レジのお客様に聞こえる声」ではなく、「入口に立っているお客様が振り向く声」というように、届く相手と距離で基準を示す。可能なら、一度自分の声を録音して聞いてもらうか、離れた場所から実演して「これくらい」と体感させる。抽象的な「大きく」ではなく、届く距離で合意することが、ずれを埋める近道になる。
💡一歩進んだ視点
NLPでは、自分の内側での感覚(自己認識)と、他者から見た実際の状態には、しばしばギャップがあるとされる。本人にとっての「出している」は主観であり、お客様に「届いている」かどうかは客観的な結果だ。この二つを同じものとして扱うと、指摘は「否定された」としか受け取られない。
カーネギーも、相手を動かすには、まずその人の立場や努力を認めることの大切さを説いている。「やっているつもり」を頭ごなしに否定せず、「やっている前提で、あと一歩どう届かせるか」に話を運ぶ。本人の努力を認めたうえで基準を示すことが、防衛的にさせずに行動を変える鍵になると感じている。
🌟まとめ
- 「やっているつもり」と「届いている」を切り分けて伝える
- 「大きく」ではなく、届く相手と距離で基準を具体化する
- 本人の努力を認めたうえで、あと一歩の届かせ方に話を運ぶ