genba-note|接客現場のどう対応する?ノート

接客業のための「どう対応する?」実用ノート

やる気スイッチ 第1回|人見知りの自分が「上司」をやることになった

 

休みの日、買い物に行っても店員さんの顔がまともに見られない。

レジで「ありがとうございました」と言われても、目を合わせられずに会釈だけして店を出る。

——これが、20〜30人の部下を持つ僕の、素の姿です。

この連載は全8回で、「人見知りの自分が、どうやって"上司"という役割を演じてきたか」を書いていきます。使ってきた方法、支えになった考え方、そしてまだ答えの出ていない問いまで。同じように人前が得意じゃないのに、立場だけが先に来てしまった人へ。その第1回です。🙂

🪞 「上司が模範に見えないと、部下は頑張れない」

正直に打ち明けると、僕は筋金入りの人見知りです。人と目を合わせるのも、話すのも苦手。会社でも「あの人は人見知りだから」と、半ば公認されているくらいです。

そんな人間が、店舗をまとめる立場になりました。当然、うまくいくはずがない——と、最初は思っていました。

決定的に考えが変わったのは、心身ともに参ってしまった時期です。眠れない、現場に立つのがつらい。そんな状態の中で、ふと一つのことに気づきました。

上司が下を向いていたら、部下は「この人がいるから頑張ろう」とは思えない。上司が元気がなかったら、部下は「元気をもらえる」とは感じられない。

当たり前のことなのに、そのときの僕には刃物のように刺さりました。僕が人見知りでいることは、僕個人の性格の問題では済まない。僕の後ろにいる20〜30人の空気を、丸ごと下げてしまう。

それまでの僕は、心のどこかで「人見知りは自分の問題だから、自分が我慢すればいい」と思っていました。でも、責任者になるというのは、そういうことじゃなかった。自分の元気のなさが、そのまま部下の元気のなさに伝染する。自分が壁を作れば、部下も心を開けなくなる。良くも悪くも、上に立つ人間の状態は、下に流れていく。だからこそ、素のままの自分でいることが、もう「許されない」立場なんだと突きつけられました。

🚪 逃げられない、という現実

接客業で人をまとめたことがある人なら、分かってもらえると思います。苦手な相手だから今日は話さない、という選択肢は、この立場には存在しません。

気の合わないスタッフにも向き合う。立場や考え方の違う相手との間にも立つ。体調が悪くても、機嫌が悪くても、現場に立てば「責任者」の顔をしていないといけない。

素の自分のままなら、僕はきっと誰とも目を合わせずに一日を終えてしまう。でもそれは許されない。ここが、僕にとってのスタートラインでした。人見知りを「治す」んじゃない。人見知りのまま、どうやって役割を果たすか。その方法を探すしかなかったんです。

🤝 スタッフにも、同じ悩みの子がいる

これは自分だけの話ではありません。うちにも、人見知りで接客に自信が持てないスタッフがいます。

その子たちに、僕は「気合いで頑張れ」とは言いません。代わりに、自分が今の形にたどり着くまでにどれだけ遠回りをしたか、何を考えて乗り越えてきたかを、先に全部話します。そのうえで「こういうやり方もあるよ」と提案する。

順番が逆だと、ただの精神論になってしまう。まず自分の弱さを見せる。それから方法を渡す。この順番だけは、崩さないようにしています。

🌟 まとめ:性格は変えられなくても、やり方は選べる

人見知りは、たぶんこの先も治りません。今でも休みの日は店員さんの顔を見られない。でも、それでも現場に立てているのには理由があります。性格そのものを変えたのではなく、性格を抱えたまま機能する「やり方」を見つけたからです。

あなたには、苦手なまま向き合わなきゃいけない場面がありますか。そのとき、素のあなたのまま挑んでいますか。それとも——何か"切り替え"を持っていますか。

次回は、その「切り替え」の正体を話します。

僕が現場の入り口で、毎日ひそかに押している——やる気スイッチの話です。🔛