genba-note|接客現場のどう対応する?ノート

接客業のための「どう対応する?」実用ノート

想定外に忙しくなった日、五分で増員を決められるか

 

📍 シチュエーション

昼を過ぎたあたりから、明らかに客足が違った。

その日の予測は、いつも通りの平日並み。人員もそれに合わせて組んでいた。ところがレジが途切れない。原因はすぐに分かった。近隣の会場で大きなイベントがあり、その行き帰りの人が流れてきていたのだ。

判断が要る。今の人数で押し切るか、休みのスタッフに連絡して増員するか。増員すれば人件費は増えるし、来てもらった頃には波が引いているかもしれない。かといってこのままだと、レジ待ちで帰るお客様が出る。品出しも追いつかず、棚が薄くなっていく。稼げるはずの日を、人が足りないという理由で取りこぼすことになる。

一番厄介なのは、この判断に使える時間が五分もないことだった。

❌ よくあるNG対応

  1. 「もう少し様子を見よう」と先送りする。増員は連絡から移動で最低1時間かかる。様子を見ている間に、呼べる時間帯そのものが終わっている
  2. 人件費だけを見て増員しない。その日の人件費は守れるが、売れたはずの売上が消える。守ったつもりで、いちばん大きな損をしている
  3. とりあえず全員に一斉連絡する。断られる前提の連絡が続くと、次に本当に必要な時の反応が鈍くなる

✅ 店長(SM)目線の推奨対応

判断の材料は、三つだけでいい。

一つ目は、この波があと何時間続くか。イベント起因の波なら、終演時間から逆算できる。開始と終了さえ調べれば、残り2時間なのか4時間なのかは読める。ここが読めれば、呼んだ人が間に合うかどうかも判断できる。

二つ目は、いま何を取りこぼしているか。レジ待ちが伸びているだけなのか、品出しが追いつかず棚が空いているのか。前者ならレジに一人、後者ならバックヤードに一人。増員は「人手が足りない」ではなく「どのポジションに一人」で考える。ここが具体的だと、呼ばれる側も返事をしやすい。

三つ目は、呼んだ人が実際に立てる時刻。ここが波の終わりを過ぎているなら、呼ばない方がいい。

実際にやったのは、波の残り時間を確認したうえで、レジに入れる一人だけを名指しで呼ぶことだった。一斉連絡はしない。「17時から3時間、レジだけお願いしたい」と用件を絞って一人に連絡する。結果、その日は最後まで列を止めずに回り切れた。

断られることも当然ある。その時は二人目を探す前に、今いる人員の中でポジションを組み直す。品出しを一時間止めて全員をレジと売場に寄せる、といった判断だ。増員が無理なら、次に変えられるのは人数ではなく配置の方になる。

そして、その日の記録は必ず残す。日付、イベントの規模と開催時間、時間帯別の売上、その時の人数と配置。この四つだけでいい。一度残ってしまえば、次からは当日の判断ではなく事前のシフトで対応できる。当日判断は、あくまで次への材料集めでもある。

💡 一歩進んだ視点

NLPに「地図は現地ではない」という前提がある。人はそれぞれ頭の中に世界の地図を持っているが、それは現実そのものではない、という考え方だ。

シフトを組んだ時点の予測は、あくまで地図でしかない。そして、よくできた地図ほど、こちらは信じたくなる。だから当日ズレが出ても、「予測が外れたのではなく、たまたま今だけ多いのだろう」と、地図の方をかばってしまう。増員の判断が遅れる時、たいていこれが起きている。

現地を見て、地図を書き換える。文字にすればそれだけの話なのだが、自分で立てた予測ほど、書き換えるのに小さな決断が要る。予測が外れたこと自体は失敗ではない。外れたまま動かないことの方が、よほど損だ。

🌟 まとめ

  • 判断材料は「波の残り時間・取りこぼしの中身・呼んだ人が立てる時刻」の三つ
  • 「人手が足りない」ではなく「どのポジションに一人」で、用件を絞って名指しで呼ぶ
  • その日の売上と人員をメモに残す。次からは当日判断ではなく事前シフトで対応できる