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接客業のための「どう対応する?」実用ノート

やる気スイッチ 第3回|キャラの「精度」と、スタッフへの伝え方

 

「疲れないの?」

別人格で一日中動いていると、たまにそう聞かれます。

正直に言えば——疲れます。でも、素のままでいるより、ずっと楽なんです。

全8回の第3回です。前回は「役に入る」というスイッチの話をしました。今回は、その役をどこまで作り込むか、そしてその作り込みをどうスタッフに渡すか。精度の話です。🎭

😮‍💨 中途半端な役は、かえって疲れる

役を作るとき、いちばん大事なのは「精度」だと思っています。

なかば素、なかば役——という中途半端が、実はいちばんしんどい。どっちの自分で立っているのか自分でも分からなくなって、ブレるからです。だから僕は、完全に別人格まで振り切るようにしています。

たとえば、方向性が自分とかなり違う相手に合わせなきゃいけない場面。素の自分の感覚だけでやろうとすると、いちいち引っかかってストレスになります。でも「役」なら、その方向性を立てながら、うまく合わせられる。役の自分は、そういうことができるキャラとして作ってあるからです。

🎨 「しっくりくるまで染める」

作り込みのコツは、しっくりくるまで染めること。

最初はぎこちなくても、繰り返すうちに、役のふるまいが自分になじんでいきます。借りてきた服みたいだったものが、だんだん自分の一着になっていく感覚です。ここまで来ると、切り替えも一瞬で済むし、長時間でも保ちます。

「そこまでやるの?」と思われるかもしれません。でも、中途半端に演じて一日中モヤモヤするより、振り切って染めきったほうが、結果的に消耗が少ないんです。

🌱 役の"良かったところ"を、素の自分にも取り込む

面白いのはここからです。

役を演じていると、「あ、今の対応、我ながら良かったな」と思う瞬間があります。素の自分ならできなかった振る舞い。それを僕は、オフのときに少しずつ本物の自分にも取り込むようにしています。

役として身につけた良い部分を、じわじわ自分に移植していく。すると、役と素の距離が、少しずつ近づいていく。これは「演じる」ことが、ただの仮面じゃなくて、自分の成長にもつながっている実感があります。

🤝 スタッフに渡すときは、上から言わない

同じように人前が苦手なスタッフに、この方法を伝えることがあります。そのとき気をつけているのは、上から「こうしろ」と渡さないことです。

僕はまず、自分がオフのときにどう感じているか、どんなふうに悩んできたかを話します。そのうえで、相手の気持ちに同調しながら「僕はこうやってみたよ」と噛み砕いて伝える。トップダウンで方法だけ投げても、人は動きません。「この人も同じところで苦しんだんだ」と伝わって初めて、方法が届く。

それに、渡すのは「正解」じゃなくて「選択肢」だと思っています。僕のやり方が、その子にそのまま合うとは限らない。だから「これが正しいからやれ」ではなく、「こういうやり方もあるよ、合いそうなら使ってみて」と置いてくる。押しつけられた方法は続かないけれど、自分で選んだ方法は続く。僕自身が、誰かに押しつけられたのではなく、自分でもがいてこの形にたどり着いたから、余計にそう思います。

🌟 まとめ:役は、仮面であり、成長の型でもある

役を作り込むのは、自分を偽るためじゃありません。素のままでは立てない場所に立つため、そして役の良いところを本物の自分に取り込んでいくため。だから僕は、しっくりくるまで染めます。

あなたが「こうありたい」と思う姿があるなら、まずはその役を演じてみるところからでいい。演じ続けた役は、いつか本物になります。

ここまで「役」の作り方を話してきました。

次回は、僕が後から知って驚いた話。

——この切り替え、ちゃんと理論に名前が付いていたんです。📚