
📍シチュエーション
あるスタッフは、担当している作業自体はしっかりこなす。手際も悪くない。ただ、その作業が一段落しても、そこから接客に出たり呼び込みをしたりという「その先」の動きがない。決められた持ち場のことは真面目にやるが、店全体を見て自分から動く、という一歩が出てこなかった。
何度か「手が空いたら前に出て声をかけて」と伝えた。伝えた直後は動く。だが定着せず、しばらくすると元の「作業だけの人」に戻ってしまう。指導の言葉が足りないのか、伝え方が悪いのか。同じことを繰り返し言い続けても変わらないとなると、言葉で促す以外のアプローチが必要だと感じ始めた。
❌よくあるNG対応
- 「気を利かせて動いて」と、繰り返し言葉で促すだけで終わる
- 動かないことを「やる気がない」と決めつけて評価を下げる
- 本人の得意な作業から引き離さず、同じ環境のまま変化を期待し続ける
✅店長(SM)目線の推奨対応
言葉で何度促しても定着しないなら、環境の側を変える。具体的には、ポジションそのものを見直す。ずっと同じ持ち場にいると、その作業が「自分の全部」になり、視野がそこで閉じてしまう。あえて接客に出ざるを得ない配置に変える、あるいは作業と接客が地続きになるポジションに動かすことで、行動の方を先に変えてしまう。
もちろん、本人の得意を奪う配置にはしない。得意な作業は活かしつつ、「その作業が終わったら自然と接客動線に入る」形を環境として用意する。人を言葉で変えようとするより、動かざるを得ない仕組みに置く方が、結果的に早いことが多いと感じている。
💡一歩進んだ視点
『7つの習慣』の「影響の輪」の考え方に沿えば、他人の性格や意欲を直接変えることはできない。変えられるのは、自分がコントロールできる環境や配置の側だ。「なぜ動かないのか」と本人を変えようとするより、「どういう配置なら動くか」と環境に働きかける方が、現実的で手が届く。
NLPでも、行動は本人の内面だけでなく、置かれた文脈に強く左右されるとされる。同じ人でも、環境が変われば出てくる行動は変わる。「作業だけの人」というのは固定された性格ではなく、その持ち場が生んでいる状態かもしれない。人を責める前に配置を疑う。この順番が、育成の手詰まりを抜けるきっかけになると感じている。
🌟まとめ
- 言葉で繰り返し促しても定着しないなら、環境(配置)の側を変える
- 得意は活かしつつ、自然と接客動線に入るポジションに動かす
- 人を変えようとする前に、コントロールできる配置を疑う